暑くなってきて、いつものように走れなくなっていませんか?
- 呼吸がきつい
- 体がだるい
- 食欲がない
そんな症状が出たら、要注意です。熱中症になりかけているかもしれません。
暑くなり始めの頃は、体が暑さに慣れていません。
そこで重要なのが「暑熱順化」です。
暑さになれて、安全にランニングするための方法を解説します。
暑熱順化とは
暑熱順化という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
簡単に説明すると次のようになります。
体が暑さに慣れること
意味としては単純ですが、ランナーにとっては非常に重要なことです。
詳しく解説するために、厚生労働省のサイト(PDF)から引用します。
人間は、暑さに多少慣れることができます。これを暑熱順化といいます。
暑熱順化により発汗までの時間が早くなり、特に、前胸部と前額部の汗がすぐに出るようになって心臓と脳の温度上昇を食い止める働きがあります。逆に、暑い環境へのばく露が中断すると、暑熱順化は失われます。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000636115.pdf
暑熱環境にさらされていない労働者は、一日に 15~20g もの食塩を発汗で失うことがありますが、暑熱順化によって、一日 3~5g 程度の喪失に抑えることができます。このように、暑さに慣れてくると、体温を一定に維持する働きが向上するとともに水分や Na(ナトリウム)を失いにくくなります。
暑熱順化することで、体の熱を逃すことができます。
その結果、熱中症になりにくく、運動時のパフォーマンス向上にも期待できます。
暑熱順化のポイント
暑熱順化については、厚生労働省や気象庁のホームページから学ぶことができます。
ここでは簡単に解説していきます。
暑さに慣れるまで数日から2週間ほどかかる
暑熱順化には数日から2週間ほど時間がかかると言われています。
いきなり暑さに慣れようとせず、ゆっくりと暑さに慣れるようにしましょう。
運動の頻度が少なすぎる場合は、さらに多くの時間がかかる可能性あります。
1回あたりの時間はほどほどにして、行う頻度を多くすることが推奨されています。
暑熱順化によって汗をかきやすくなる
暑熱順化することにより、汗をかきやすくなります。
暑い環境下では、汗をかき始めるまでが早くなります。特徴的なのが、前胸部と前額部(おでこ)に汗をかきやすくなります。
前胸部と前額部(おでこ)に汗をかきやすくなったら、暑熱順化が進んでいると思っていいでしょう。
汗の成分が変化する
暑熱順化が進むことで、汗の成分が変化してきます。
普段と比べて、塩分(Na)の排出量が格段に減ります。
このおかげで、熱中症になりにくくなります。
しかし、大量に汗をかくと塩分も排出されるので、こまめに補給をするようにしましょう。
暑熱順化の効果を失うことがある
一度暑熱順化しても、その効果を失うことがあります。
数日間暑さから遠ざかると、暑熱順化の効果を失う可能性が出てきます。
梅雨の時期や、暑さから遠ざかった場合は、運動する際に注意しましょう。
特に注意したい時期は次のとおりです。
- 5月の急に暑くなった時
- 梅雨の晴れている日
- 梅雨明け
- お盆休み明け
暑さに慣れる方法
暑さに慣れる方法をいくつか紹介します。
無理のない範囲で慣れていきましょう。
ウォーキング・ジョギング
基本的な運動ですが、ウォーキングまたはジョギングの効果は高いです。
暑い環境で運動することで、体温はかなり上昇します。
その結果、しっかりを汗をかくことができます。
運動に慣れていない人は、ウォーキングから始めてみましょう。
普段から運動にしている人はジョギングで問題ないと思います。
しかし急に気温が上がった時は、自分の体調と相談しながら無理せず行うようにしてください。
サイクリング
サイクリングも最適な運動です。
暑いながらも、ウォーキングやジョギングよりも風を感じることができます。
普段から自転車に乗る人には特におすすめです。
筋トレ
筋トレも汗をかけるので、暑熱順化に効果的です。
エアコンの効いた部屋では、そこまで効果を感じることはないかもしれませんが、運動することで汗をかくことが期待できます。
ジムで行う場合は、マナーに気をつけましょう。
入浴・サウナ
運動をせず暑さに慣れたい人は、入浴かサウナがおすすめです。
しっかりと体を温めて、たくさん汗をかきましょう。
かなり汗をかくので、前後でしっかりと水分補給をすることをおすすめします。
入浴やサウナも体力を消耗するので、無理はしないように気をつけてください。
暑さに慣れても注意すること
暑さに慣れたからといって、無理をすると危険です。
ここ数年で気温がかなり上がり、危険な暑さになることが増えています。
そんな暑さの中でも、安全に運動するために次のことを意識しましょう。
環境条件によって、運動強度と運動時間を調節する
ここ数年の夏は、気温がかなり高いです。
屋外での運動を禁止するほどの暑さになります。
そんな中、激しい運動を長時間行うことは危険です。
暑熱順化をしていても熱中症になりかねません。
「運動強度を下げる」、「長時間の運動を避ける」など臨機応変に対応しましょう。
夏は早朝が一番運動しやすい時間帯です。
早朝に運動ができるのであれば、早朝をおすすめします。
夜間は日差しはないものの、日中の熱が残っているので思っているより暑いです。
夜間に運動する人も体調には注意しましょう。
こまめに水分、塩分の補給をする
暑い中運動すると、大量の汗をかきます。
基本的なことですが、しっかりと水分、塩分の補給をしましょう。
喉が渇いてからでは遅いので要注意です。
また、水分を一気に摂取するとお腹が痛くなるなどの不調を訴える可能性があります。
ひどい場合は「水中毒」と呼ばれる状態になります。
こまめに補給することで、不調の原因も無くなるので、可能な限りこまめに水分を摂りましょう。
体調が悪い時は運動を控える
少しくらい体調が悪くても運動してしまう人はいませんか?
大事な大会など、どうしても休むことができない場面があるかもしれません。
しかし、体調が悪い時はパフォーマンスは落ちています。
さらに暑さで体調不良が悪化する可能性もあります。
可能であれば、体調が悪い日は運動を控えて、休養を優先しましょう。
急に暑くなった日は気をつける
梅雨明けや、雨上がりなど急激に気温が高くなる日は要注意です。
雨などの涼しい環境に慣れてしまうと、体は暑熱順化の効果を多少なりとも失ってしまいます。
心の中では大丈夫と思っても、体がついてこないような場合があります。
そのような時は、もう一度暑熱順化するまで、運動の強度を落としてみましょう。
数日もすれば、元のように運動ができるはずです。
無理してケガや体調不良にならないように注意してください。
安全に運動しましょう
暑い夏でも、走りたいと思っているランナーは多いです。
暑熱順化ができても、熱中症になるリスクはゼロではありません。
北海道マラソンなど、夏にレースがある人は仕方ありませんが、秋や冬のレースを見据えている人は、無理のない範囲でトレーニングをすることをおすすめします。
ゆっくりと暑熱順化を進め、安全にトレーニングを進めていきましょう。